フローとストック ふたつのお金の顔
お金には、フローとストックという二種類の側面があります。
フロー、キャッシュフローと言われているものは、 要するにお金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことです。
たとえば、月35万円稼いでいて、 生活費その他の出費として毎月25万円支出しているとすると、
この25万円分は、お金が入ったそばから出ていくので、 まるでお金が自分を通過していって
流れていったような感じですね。この25万円がキャッシュフローです。
そして、残りの10万円を毎月貯蓄したとすると、 この部分は流れていかず、
貯まっていきます。
この貯めたお金がストック、 マネーストックと理解しておけばよいと思います。
キャッシュフローは、 要するに稼いだお金を消費するということですので、
これは生きていくために必要なことですし、 趣味にお金を消費するなど、
人生を楽しむためにも必要です。
消費するために稼いで、稼いだ金を消費する、 というサイクルですね。
ではストックは、何のために必要なのか。
お金を何のために貯めるかというと、 いつか来るべき時の大きな出費に備えて、
というのがいちばん多い答えではないでしょうか。
車を買うため、住宅ローンの頭金にするため、 突然の病気や事故などに備えて、などなど。
このような目的での貯金は、ときに非常に重要です。
しかし、これらの貯金は、 いつか近い将来に使うために一時的に貯めているだけですので、
結局は流れ出ていくことが前提であり、ストックというよりは、 フローに近い性質のものであると考えられます。
流れの途中にちょっとしたダムが設けられて、 そこに一時的に貯めて一気に放出するようなイメージですね。
コンピュータでたとえると、 バッファとかキャッシュメモリみたいなイメージでしょうか。
あくまで流れの一部、フローのプロセスとして、 一時的に貯まっているだけです。
お金を貯めるというとき、この概念しかない人は、
大企業や公務員を定年まで勤め上げて年金暮らしになるまで、
経済的自由を手に入れることができません。
年金制度が破綻したらそういう方も無理になります( この可能性はありえます。)。
仮にあなたが今30歳として、 90歳くらいまでは生きる可能性があるので、
そのキャッシュフロー分を、 支出を前提とした貯金でまかなおうとすると、
だいたい2億~3億円くらい必要になります。
そんな大金を若いうちに手に入れるなんて、普通の人には
それこそ宝くじに当たらない限り無理です。
ちなみに、宝くじは、まさにその発想で宣伝しています。
ToTo6億円の宣伝で、年収2000万円×30年、 とか宣伝していますよね。
え、6億円を30年で使い切る前提なの?と驚くばかりですが、
こういう貯めたお金をいずれ全部使い切る発想しかしていないと、
経済的自由は手に入らないのです。
たぶん、6億円当たっても30年ももたずに使い切って、
その後悲惨な人生を歩むことになるパターンになるでしょう。
これに対して、ストックと呼べるような貯蓄は、 このフローからは完全に切り離されたところで、
消費することを前提としない貯蓄をいうものと考えています。
お金は使うためにあるのに、使うことを前提としないって、 どういうこと?
と思われるかもしれませんが、そこでいっている「使う」とは、「 消費する」ことを
意味していますよね。
お金は、単にモノやサービスを買うだけの「消費」 という使い方以外に、
「投資」という、利殖を生む使い方があります。
ストックとして貯めたお金は、資産として投資運用し、 利殖を生ませることができるのです。
株式に投資して年間配当を得る、 不動産に投資して賃料収入を得る、などが典型的ですね。
銀行預金も、利息を生む一種の投資です。最近は金利が低すぎて、 投資としてはほとんど無意味ですが。
貯まったストックが少ないうちは、利殖も微々たる物ですが、 ストックが大きくなってくると、
利殖も大きく、また安定してきます。
すると、ストックの成長とともに、この利殖が、 キャッシュフローの一部を肩代わり可能な
レベルにまで育ってきます。
たとえば、年間のキャッシュフローが450万円必要な人が、 頑張ってストックを3000万円貯め、
これを資産として、年間5% の利殖を生むように運用したとします。
その結果、もしこの人が、 キャッシュフローに充てるためのお金を、
これまで全て不本意な労働により稼いで捻出していたとすると、
ストックの運用により、 その不本意な労働で稼がなければならなかったプレッシャーは、
それまでの3分の2にまで軽減されることになるのです。
もちろん、最終的な目標は、 ストックが生む利殖のみで全てのキャッシュフローを
まかなう「資産家」または「資本家」になることですが、 上の例でいうと、年450万円のキャッシュフローを
年5%の資産運用でまかなうには、 ストックを1億円近くも作らなければならず、
不可能とまではいいませんが、並大抵ではできません( それでも2億も3億も貯めるよりはまだ現実的でしょう。)。
しかし、ストックの形成は、上に挙げた例のように、少しずつ、 不本意な労働からのプレッシャーを
段階的に和らげていくことが可能です。
とりあえず、普通の人である私たちは、 少しでもストックを増やして利殖を安定、拡大し、
キャッシュフローを不本意な労働から生み出さなければならないプ レッシャーから、
少しずつ開放されていくことを目指してはいかがでしょうか。
まずは「労働者兼業資産家(資本家)」から目指しましょう!
いずれは「専業資産家(資本家)」を目指して!
ヤサカ